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国際相続支援の実例:日台遺産分割から登記完了まで

  • 執筆者の写真: 行政書士法人パートナー
    行政書士法人パートナー
  • 4 日前
  • 読了時間: 4分
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1.案件の背景

本件は、被相続人L様(台湾籍)に関する相続手続きのご依頼でした。相続人はX様(長男・日本籍)とY様(長女・台湾籍)の2名で、相続財産には日本国内の不動産、預貯金、保険金が含まれていました。

L様は生前、日本と台湾の両国で生活され、日本国内に不動産を所有しながら台湾でも生活基盤を維持されていました。そのため、相続人も日台に分かれ、それぞれ国籍や居住地が異なるという、国際相続特有の構成となっていました。

当事務所では、相続開始から財産の承継手続きまで、一貫して以下の支援を提供いたしました。

 

・遺産分割協議書の作成

・台湾発行の相続関係書類の翻訳

・相続人間の通訳支援(日本語・中国語言語対応)

・日本国内不動産の所有権移転登記手続き

・預貯金および保険金の相続手続き

 

本件は、「相続人の国籍」「居住地」「言語」「財産の分散」といった要素が複合的に絡むため、特に専門的な知識と緻密な実務対応が求められる案件でした。

 

2.問題点・課題

(1)財産・名義人の分散による煩雑さ

相続財産が不動産・預貯金・保険金と多岐にわたり、それぞれ異なる機関・窓口での手続きが必要であったため、全体の管理と進行が煩雑化しました。

 

(2)親族関係証明の調整

相続手続きにおいては、日本と台湾の戸籍制度の構造的な違いを正確に理解した上での対応が不可欠でした。特に、台湾の戸籍謄本は税務や兵役関係の管理を目的とした制度であり、親族関係や出生・死亡に関する情報が日本のように一貫して記録されているわけではありません。そのため、日本の相続手続きで求められる続柄や出生経緯等の証明には、台湾の資料のみでは不十分であり、個別に補足資料を収集する必要がありました。

こうした制度上の相違を踏まえ、台湾の戸籍情報を日本の制度に適合する形で精査・翻訳し、補助説明資料を加えることで、家族関係の証明を可能としました。当事務所では、現地の公的機関と継続的に協議を行い、複数回にわたる資料請求を経て、最終的には日台双方の法制度に整合した形で必要書類を整備いたしました。

 

(3)言語の壁

X様は日本語話者、Y様は中国語話者であり、遺産分割協議の過程では意思疎通の難しさが課題となりました。加えて、法的用語や制度の違いがさらなる混乱要因となりました。

 

(4)準拠法の整理

日本国内の不動産には日本法が適用される一方で、遺産分割においては被相続人の本国法である台湾民法も考慮する必要がありました。登記実務と台湾法の整合を図る調整が求められました。

 

(5)書類の収集・郵送

台湾側の戸籍や相続関連資料の取得・翻訳・公証・国際郵送等に多くの時間と労力を要し、進行管理に高度な調整が必要でした。

 

3.当社の対応と解決策

(1)準拠法の確認と実務の整理

相続財産の種別ごとに適用法を確認。不動産については日本法、遺産分割協議については台湾民法の実務も考慮し、法的整合性の取れた遺産分割協議書を作成。全財産の承継に対応可能な書類を整備しました。

 

(2)通訳・翻訳・専門的な説明の徹底

初期の協議段階から通訳(日本語⇔中国語)を導入し、遺産分割協議書も日中二言語で作成。双方の相続人が法的背景と内容を正確に理解できる体制を構築しました。

 

(3)戸籍・相続資料の整備

台湾発行の戸籍、相続関係書類を日本法務局で使用可能な形式で翻訳し、補助説明資料も添付。家族関係を明確にし、登記・金融手続きでの照会にも迅速に対応しました。

 

(4)各種手続きの一括進行

不動産登記、預貯金・保険金相続も一括して対応し、手続き遅延や二重提出の無駄を排除。複数機関への調整・提出代行を通じて、相続人の負担軽減を徹底しました。

 

国際相続の円滑な進行は専門家の伴走で実現します


国際相続は、準拠法の整理、言語・文化差の克服、煩雑な実務処理が同時に求められます。当事務所では、

 

✅ 法律・手続き・言語支援の一体化対応

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